アーシュラ・K・ル=グウィン(訳 村上春樹)『空飛び猫』・会社員 U・Yさんオススメ

おすすめ本 File 064「20代のみんなと一緒に違和感を感じている人たち」へ

会社員 U・Yさん

064「あなたって他人と違うね。」とか「あなたって変わっているね」と言われてあなたは嬉しいですか?それとも嫌ですか?

今の20代の人たちは私の世代(40代)とは違って「よこならび」を良しとする傾向が強いように感じています。運動会の徒競走は手を繋いでGOALする子供時代だっったのでは?
そんな幼少期から刷り込まれた「みんなと一緒」に違和感を感じている人もいるのでは?
そんな人にぜひ読んで欲しい一冊です。

物語は
原作者は『ゲド戦記』のアーシュラ・K・ル=グウィン。訳は村上春樹。
空を飛ぶ不思議な猫たちが主人公のシリーズ物の童話です。
都会のゴミ置き場に住むジェーン・タビーお母さんから生まれた4匹の子猫。
この子猫たちには背中に翼がはえてえいます。都会の危険な場所から飛び立つための翼です。
お母さんに独り立ちするのを認められたある日、こどもたちは空へ旅立ちます。
荒れた街から森へ飛んで行き、ハンクとスーザンの心優しい兄妹に出会うまでがこの一冊です。(シリーズであと3冊出ているので合わせて読んで欲しいです)

子猫の成長譚?!
この物語の主人公である 翼のある猫たちはあきらかに「違う」猫たちです。人間でいえば異端児です。
このお話は人間の成長譚と読み取ることもできるなぁと思っています。
仲間意識の壁、価値観の違い、力の差、受容、反発・・・人間と同じ想いをこの子猫たちは経験します。
人間の子供に出会うまでに「慎重・計画・柔軟・素直・信頼・状況判断」などのスキルを身につけて子猫なりに周りに馴染もうと努力したようです。「他人と違う」ことをきちんと受け入れどうすべきなのかを学びとっています。
親の庇護から飛び立ち、いろんなことに立ち向かうその姿は、ちょうど20代前半の若者に重ね合わせられるように感じています。(後編ではジェンダー問題とも重ねられるようなお話もでてきます。)

猫好きや疲れている人に・・・
最初からこんな風に感じながら読んだわけではありません。最初は「こんな猫が本当にいたらいいなぁ」と思って読んで癒されていただけです。
あっという間に読めてしまう薄い本です。S・D・シンドラーの描く挿絵も良い感じです。また村上春樹さんの訳も苦労された形跡(a human bean, a human beingインゲンとニンゲン!)がみられ秀逸です。
ファンタジーなので好き嫌いははっきりと別れるでしょうが、猫好き・もふもふ好きは一度読んでみてください。
きっとゆったりとした気分になれるのではないでしょうか?
そして少しでも「他人と違うのも悪くないな・・・」と感じてくれると嬉しいです。

 

 

会社員 U・Yさんのプロフィール

平成元年に社会人の仲間入りをし、早いもので四半世紀を過ごしてしまいました。
頑張り過ぎずに余裕を持った遊び心のある大人でいたいものです。