小野不由美『図南の翼(となんのつばさ)—十二国記—』・声優・アーティスト 野田順子さんオススメ

おすすめ本 File 041
「20代の世を憂いている人たち」へ

野田順子

041tonantonan『ゆとり世代』—-なにかと言うとそう呼ばれ、不景気のあおりをくらった就職難で夢や希望も持てないし、世の中なんてつまらない。

世間の不条理さを嘆きながら、社会に対して自ら切り込んでいく元気もなく「誰かが何かをしてくれる」とか「どうせ頑張ったってどうにもならない」なんて世を憂いている人達って、存外多いのではないでしょうか?  

そんな方々にお薦めしたいのは、小野不由美さん著「図南の翼(となんのつばさ)—十二国記—」です。
 小野不由美さんはホラー要素を盛り込んだミステリー小説家としてご活躍中なのですが、今回ご紹介するのは、中国史を思わせる風景描写を背景に、天意(神の啓示)をもって選ばれる王と、王を選ぶ麒麟(きりん)によって統治される十二の国の物語。「十二国記」シリーズと呼ばれるファンンタジー小説の一編です。


 
 この世界では、王を失くした国の治安は乱れ、災厄が続き、妖魔が徘徊するほどに荒むのですが、王を失い荒廃の進む国に対し、大人達は「王が立ってくれたら……」と嘆くばかり。
日ごとに混迷の様相を呈して行く国を憂う十二歳の少女『珠晶(しゅしょう)』が、
「大人がやらないなら自分が王になる!」と決断し、麒麟に天意を諮るため、神々が住まう蓬山(ほうざん)を目指します。
旅の道中で出逢う人々との関わりの中で、自分自身と向き合い、未熟さを認めて成長して行く過程が痛いほど鮮明に描かれています。また、他の登場人物の言動の中に、近年希薄になって来ていると言われている社会性や、コミュニケーションを計ることの大切さ、自分の物差しで物事を判断し相手に強要したり、逆に、周囲の意見に合わせるが故に真意を見失ってしまう事がある「集団意識」の怖さなど、現代社会にも通じる世界観が広がっています。

 何事も「やらない後悔より、やった後悔の方が良い」の精神で、憂いを捨てて、まずは十二歳の少女と共に「理由のない自信」を携え、自分探求の旅に出てみてはいかがでしょうか?

 「まず自分で行こうと思ったの。
 黄海に行って帰ったら、あたし堂々と、やるべきことをやってから嘆けば?って言ってやれるわ。
 妬まれたって、あたしは恵まれてるぶん、やるべき事をやったもの、って言える。」珠晶                                                   (出典・講談社X文庫ホワイトハートより)

野田順子さんのプロフィール

041野田順子
声優・アーティスト
所属フリー。93年声優デビュー。99年ゲーム主題歌でCDデビューを果たし、01年よりライブ活動開始。
09年にはシンガーソングライターとしてCD『forever and ever』を発売。
声優業に留まらず、企画ライヴを開催するなど、常に楽しい事を求めて精力的に活動中。
代表作:アニメ「ONE PEACE」たしぎ、「メジャー」茂野桃子、「LAST EXILE」ディーオ・エラクレア
オフィシャルサイト NODA JUN HOUSEhttp://nodajun.com/

【ライブ告知】
2013年10月19日(土)東京・高田馬場CLUB PHASEにて、上京20周年記念ライヴを開催します