デイル・ドーテン 訳 野津智子『仕事は楽しいかね?』・物書き 倉下忠憲さんオススメ

おすすめ本 File 028
「20代の、仕事が楽しくない人たち」へ

倉下忠憲

028shigoto原稿を書いている机から視線を上げると、こんな言葉が書かれた紙が目に入ります。

「”適切な時”とか”完璧な機会”なんてものはない  
一か八かの賭けをしないなら、チャンスなど一つもない」

これは本書の登場人物であるマックス老が、主人公に与えてくれるアドバイスです。
仕事に行き詰まりを感じ、人生に虚しさを抱え込んでいる主人公に対して、マックスはさまざまなアドバイスを提示してくれます。きっと、この本を手に取った皆さんも、何かしら感じるものがあるでしょう。
小さいながらも、確かな一歩を踏み出せそうな気持ちが湧いてきます。

たしか20歳ぐらいの頃だったでしょうか。はじめて本書を読んだとき、上にあげた二つの言葉が、私の胸にずしんと響きました。何かとても大切なことが書いてあるような気がしたのです。
私は、その二つの言葉を紙に書き出し、よく目に付く場所に貼っておきました。今でも、この言葉を目にすると、その時の残響音を感じ取ることができます。

仕事が楽しくない。

仕事が楽しくなければ、人生もちょこっとだけ楽しくなくなります。でも、仕事や職場を変えたら、楽しくなるのかというと、いささか疑問です。楽しかったゲームもいずれ飽きてきて、新しいゲームを買う。でも、そのゲームにもいずれ飽きがきます。結局、何かが繰り返されているだけなのです。
アプローチを変えるしかありません。それしか、<つまらない>から抜け出すことはできないのです。環境を変えたとしても、いずれ<つまらない>は追いついてきます。どのように現実を捉え、自分がどうやってそれに対してアプローチしていくのか。それが変われば、現実もその姿を変えます。仕事に対する感覚も、きっと変わってくるでしょう。
必要なのは、問題解決と創意工夫です。
これがあれば、どんな対象でも楽しくなります。逆に、これがなくなれば、テレビゲームだってつまらなくなるでしょう。 ほんの少しでもいいから、問題解決と創意工夫に取り組んでみることです。あるいは、それを試してみることです。

試すことを始めれば、周りの風景がちょっとだけ変わります。
それを続けていけば、もうちょっとだけ風景が変わります。
その先には、まったく見知らぬ人生が待っているかもしれません。

あなたの人生をこれまで生きた人は誰もいません。何が起こるかなんて、誰にもわからないのです。
あなた自身を含めて。 マックス老の言葉を借りれば、「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」態度がよいのかもしれません。少なくとも、「試してみることに失敗はない」のですから。

倉下忠憲さんのプロフィール

rashita_big倉下忠憲
物書き
20代から10年以上コンビニ業界で働いていましたが、30歳で突然物書きに転職し、今に至ります。まさか自分が物書きになるなんてまったく考えてもいませんでした。人生は、予想外のことが起こることも含めて、ままならないものです。
オフィシャルサイト R-stylehttp://rashita.net/blog/
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