増田俊也『七帝柔道記』・歌手 池田 聡さんオススメ

おすすめ本 File 027
「20代の、誰かのために頑張るということに懐疑的な人たち」へ

池田 聡

027shichitei

エンターテインメントとして楽しめる本なら新旧数えきれないほどあります。
今回は敢えて最近出版されたにもかかわらずレトロな味わいの青春本をお薦めしようと思います。

著者の増田俊也さんは柔道家でもあり、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞されています。
「格闘技や柔道なんて…」と思われる方も多いと思いますが、お洒落でも今時でもないこの青春記をみなさんもきっと自分の青春の物語のように感じていただけるように思えるのです。  

七帝柔道とは、七つの旧帝国大学である東大・京大・北大・九大・名大・東北大・大阪大で競われる柔道のことで、所謂みなさんがご存知の柔道とは違う寝技中心のルールで現在でも行われています。
寝技中心であること以外にも、団体戦であること、勝ち抜き戦であること、引き分けは両者共に退くこと、試合時間が長いこと、寝技への引き込みが認められていること、「待て」がないこと、場外がないこと、一本以外の勝敗がないこと等があり、つまり普通の柔道とは試合の様相も大きく異なります。  

このルールである結果、個人が求められるものは、「チームのためにどれだけ頑張れるか」ということです。もちろん、団体競技をしていた方、チームで何かを成し遂げようと努力された方、友達との友情、そんな青春物語なら経験したことがあるよと言う方もいらっしゃるでしょう。
この物語の中で、そんな経験がある方にも、そして逆に団体競技が苦手だと言う方にも、「何故主人公たちがこんな時代錯誤で不条理な苦しみを続けるのか?」、「そこに何を見いだすのか?」、そんな疑問を抱きつつも、その先にあるものを感じていただきたいと思うのです。
少し難しそうな印象を与えるような紹介をしてしまいましたが、もちろんエンターテインメントとしても読み応えも面白みも大いにある小説です。

生きている限り、自分は何者か?何のために生まれてきたのか?何処に向かっているのか?そんな存在理由を求めてしまうものです。
答えは簡単に見つからないかもしれません。
本は、そんな我々に違う青春や人生を経験させてくれます。そんな中から、何かしらのヒントや答えや戒めを見つけてくれたらと思います。

池田 聡さんのプロフィール

ikedasatosi池田 聡
歌手
1986年「モノクローム・ヴィーナス」でデビュー。
代表曲「月の舟」、「マリッジ」、「濡れた髪のLonely」、「思い出さない夜はないだろう」。
現在も楽曲のリリース、ライヴ活動、ラジオパーソナリティ等、活動中です。
オフィシャルサイト http://www.satoshi.net/
一年を通じてライヴ活動を全国各地で行っています。楽曲のリリースもCDやダウンロードにて行っています。