榎本マミ『督促OL修行日記』・デザイナー 植木 千砂登さんオススメ

おすすめ本 File 008

「20代の人間関係に悩んでいる人たち」へ

植木 千砂登

tokusoku

プライベートで気の合わない人や嫌いだなと感じるタイプの人と出会ったとしても、自分で選択して付き合わなければ嫌な思いもしなくて済みますが、職場など公的な場所では、嫌でも顔を合わせたり、納得出来ない理不尽な対応をされてもおもむろに怒りを爆発させることができず、ましてや上司であれば尚さら刃向かう手段もなく鬱屈とした気持ちを引きずってしまうことが多々ありますよね。実は世の中には意地悪な、性格の悪い人が案外多いのです。それが社会というものなのでしょう。

フリーのデザイン業で稼いでいる自分にとっても仕事の中で一番の悩みの種が人間関係です。理不尽な依頼を受けた時、横暴で傲慢なクライアントに出くわした時、腹わた煮えくり返りながらも声が震えるのを抑えつつ受話器を置いてから「ふざんけんじゃねぇ!」と叫ぶありさま。情けない話、できの良い人間のすることではありません。

朝日新聞で紹介されていた「督促OL修行日記」の書評を読んだ際は、なぜ作者の榎本マミさんは「督促」という嫌な仕事を敢えて選んだのだろうと率直に疑問に感じました。つまり彼女の動機に興味が湧いて本を手に取ったのです。
その疑問は読み始めてすぐに解消されてしまいました。大学新卒のマミさんは数多くの就職活動を体験し信販会社に入社。当初マミさん自身督促の部署に配属されたのは思いがけなかったようです。新卒で督促部署とは予想外の展開だったでしょう。 いきなり過酷な部署に配属されても彼女は会社を辞めることは思いつきませんでした。毎日出社して電話の前に座りお客様との会話の格闘、言葉の刃に傷つきながらも、地道に業務をこなしていきます。同僚が次々と辞めていく中でマミさんは少しずつ成長し、日々のお客様との会話や先輩たちの対応を勉強しながら仕事のスキルを磨き、人生の処世術を身に着けていくのです。

「人には長所短所が必ずある。…誰だってできないことがあるし、それを自覚することも一つの成長なのかもしれない」 「プロ意識を持つこと。これは他人のためではなく自分の心を守るために役立つ一つの手段なのだ。」

この本の中には嫌な人に出会った時の対処法や心の整理法が随所に散りばめられています。マミさんのように対応できたらわなわなと肩が震え出すのを少しだけ止める事ができるかもしれません。そして笑顔で過ごせる時間が少しでも増えたらいいですね。

植木 千砂登さんのプロフィール

植木 千砂登 (うえきちさと)
デザイナー。英語を活かしたいと専門学校卒業後貿易関係の会社に従事、薄給に悩まされ人材派遣などを転々とした後、PCスキルを買われてデザイン事務所へ。独立後はなんでもござれとデザイン・DTP・WEBを勉強しつつ今日まで細々と営業中。
モットー:せっかくだから笑って生きよう!